孝子説話集の研究・近代編・明治期・二十四孝を中心に/徳田進/中国古来の代表的孝子24人をいいまた彼らの逸話を収めた同名の幼童の教訓書

商品説明
孝子説話集の研究・近代編・明治期・二十四孝を中心に/徳田進/中国古来の代表的孝子24人をいいまた彼らの逸話を収めた同名の幼童の教訓書

昭和39年 492P 3冊のうちの1冊 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

本書近代篇(明治期)を孝子説話集の研究の第三部として贈ることが出来るのは、著者の喜びとし、 幸せとするところである。

願みれば、本研究に着手してからすでに三十年余の月日は経って、ここに一応三部作の形を取り、 筆を胸くことができたのは、一は世恩学恩に報い、一は亡き両親の慈愛にこたえるものとして、やや 肩の軽くなるのを覚える。十年の研究歳月を三度重ねるのは、不敏不才の私にとっては、やはり重荷であった。苦しさはいささかも感じなかったが、太平洋戦争を仲に挿んでの研究の日々であっただけ に、諸面にわたる焦慮や苦心も二、三には止らなかった。すべてをこの書にと籠めて、著書そのもの に一切を語らせようと決意はして来たものの、さて完結したものを見ると、予期した通りに行かなか った点もあり、反省してみて、いささか寂莫を感ずる。これからもひたすら識者の御教示を仰いで、 年月をかけ、徐々に補訂する積りである。

思うに孝子譚はすでに上代に芽生え、中世に蕾を持ち、近世に開花したと例えられよう。この様相 と特色は、既刊の学位受領論文孝子説話集の中世篇(A5版四〇四頁)と近世篇(同 七六二頁)で論述し、 両書を通して中世及び近世の庶民の文化性能、とくに文学と教育教化におけるを論究して来たところ であった。

二十四孝
にじゅうしこう
中国古来の代表的孝子24人をいい、また彼らの逸話を収めた同名の幼童の教訓書をいう。その人と配列の順序には諸本で異同があるが、元(げん)の郭居敬(かくきょけい)の作といわれる『二十四孝』によれば、虞舜(ぐしゅん)、漢の文帝、曽参(そうしん)、閔損(びんそん)、仲由(ちゅうゆう)、董永(とうえい)、?子(えんし)、江革、陸績、唐夫人、呉猛、王祥、郭巨、楊香(ようこう)、朱封昌、?黔婁(ゆけんろう)、老莱子(ろうらいし)、蔡順(さいじゅん)、黄香、姜詩(きょうし)、王褒(おうほう)、丁蘭(ていらん)、孟宗(もうそう)、黄庭堅らであり、仲由と江革のかわりに張孝と田真を入れたものもある。孝子譚(たん)を集めた書には古く前漢の劉向(りゅうきょう)作『孝子伝』があるが、敦煌(とんこう)発見の唐末五代の円鑑大師雲辯(うんべん)の作といわれる『二十四孝押座文(おうざぶん)』によって、唐末ごろには孝子の代表24人を数える習慣が形成されていたことがわかる。二十四孝説話は、一般に親に対する子の一方的献身を説き、親の喜びのために、70歳になっても赤子のまねをする周の老莱子、親を養うためにわが子を生き埋めにしようとする漢の郭巨、親の食欲のために、厳冬に筍(たけのこ)を探して泣く晋(しん)の孟宗や、氷上に寝て鯉(こい)をとろうとする晋の王祥の話など、残酷なものが少なくない。『二十四孝』は江戸時代には日本でも訳され、近松半二(ちかまつはんじ)らの浄瑠璃(じょうるり)『本朝(ほんちょう)廿四孝』など芸能にも多く取り入れられている。
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

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